埼玉・熊谷市――県北のド田舎に「駅前だけ大都会」が生まれた根本理由
埼玉県北部の熊谷市は、昼間人口比率97.5%と高い定着率を背景に、駅前再開発で商業・行政・文化機能を集中。独自の都市モデルが人口減少時代に示す持続可能性と課題を探る。
郊外と駅前が共存する構造

埼玉県北部の平野に、大規模な都市の風景が突如として現れる。熊谷駅前には、郊外的な風景が続く高崎線沿線には不釣り合いな、密度の高い都市景観が広がっている。
駅の南北にはロータリーと停留所が整備され、郊外方面へ向かうバス路線が発着する。中心市街地には、ニットーモールやイオン熊谷店などの大型商業施設が並ぶ。
現在では、国道17号沿いにカインズやケーズデンキといった郊外型店舗も展開しているが、それでも駅前の賑わいは維持されている。
文化施設も充実している。県内に2館しかない県立図書館のひとつ、埼玉県立熊谷図書館が中心市街地に立地する。ライブハウス「熊谷HEAVEN’S ROCK」は、かつて「熊谷VOGUE」の名で“北関東最大級”をうたっていたと記憶している。
こうした都市スケールは、周辺のまちとは明らかに異なる。例えば高崎線で2駅、約10分の距離にある深谷駅前には、大型商業施設や集客施設がない。駅前はすぐに住宅街となり、その先には田園地帯が広がる。高崎線沿線でも、これほどまでに都市空間が形成された例は熊谷市だけだ。
なぜ熊谷だけが、ここまで“都会”なのか。その背景を探っていく。