軽100kg減の衝撃! スズキの超軽量化戦略は「聖杯」か、それとも「パンドラの箱」か――EV時代の試練を考える

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スズキは2030年に向け、現行比100kgの車両軽量化を軸とした新技術戦略を発表した。燃費向上や加速性能改善に加え、インド市場での小型車競争力強化や社会課題対応を目指す、総合的モビリティ戦略だ。

技術戦略で挑む軽量化

スズキのロゴマーク(画像:時事)
スズキのロゴマーク(画像:時事)

 スズキは2025年9月9日、「10年先を見据えた技術戦略2025」を発表した。新戦略の柱は、軽くて安全な車体、効率的なエンジン・CNF技術、バッテリー消費を抑えたバッテリー電気自動車(BEV)、ハイブリッド車(HV)、ソフトウェア定義車(SDV)ライト、分解しやすいリサイクル設計などだ。さらに、カーボンニュートラルに向け、バイオガス事業やスマート工場の取り組みも盛り込まれた。

 技術戦略の核心は車両軽量化で、「Sライト」技術を用い、現行比で100kgの軽量化を目指す。市場投入は2030年を予定する。軽自動車の重量は700~1000kgで、100kgの削減は車両全体の1割以上に相当し、大きな効果が期待される。

 2024年公表の技術戦略では、商品を通じたエネルギー削減が中心だった。今回は、パワートレイン開発の詳細に加え、次世代モビリティ社会の課題への対応計画が追加された。日刊工業新聞によると、鈴木俊宏社長は会見で

「世の中の変化が早く、立ち止まっていては死んでしまう。目に見えるもの、考え方や哲学も時代の変化に合わせて変えていく」

と述べた。軽量化はただの技術テーマではなく、スズキの存在意義をかけた挑戦である。

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