ワンマン列車の運賃支払い 「PayPay対応」がメリットしかないワケ
JR東海は2025年8~10月、飯田線の無人駅区間でPayPayを使う運賃収受実証を開始した。12.5兆円超の取扱高を誇る国内最大コード決済を活用し、運転士の負担を軽減しつつ訪日客にも対応。高額紙幣の概算収受を避け、地方鉄道の省力化と観光振興を同時に狙う試みだ。
ワンマン列車で進む決済の合理化

たしかに、あらかじめ小銭を用意していればPayPayで支払う利点は小さいかもしれない。だが高額紙幣しか手元にない場合は事情が変わる。ワンマン列車に備え付けられた両替機は硬貨と千円札にしか対応していない。もし下車時に財布の中が五千円札や一万円札だけと気づいたらどうするのか。
その場合は「概算収受」と呼ばれる対応になる。運転士が高額紙幣を一時的に預かり、証明書を発行する。乗客は証明書を駅に持参し、後日払い戻しを受ける仕組みだ。証明書の記入が必要なうえ、払い戻しのために再び駅を訪れなければならない。
利用者に手間を強いるだけでなく、概算収受が重なると運賃収受に時間を要する。海外旅行者のように言語が異なる乗客がいれば、さらに混雑は増す。ワンマン運転では車掌がいないため、運転士が運転と料金対応を同時に担うことになる。その結果、列車の遅延につながる恐れもある。
こうした場面をPayPay決済で置き換えられれば、乗客にも鉄道会社にも大きな利点が生まれる。