ワンマン列車の運賃支払い 「PayPay対応」がメリットしかないワケ
JR東海は2025年8~10月、飯田線の無人駅区間でPayPayを使う運賃収受実証を開始した。12.5兆円超の取扱高を誇る国内最大コード決済を活用し、運転士の負担を軽減しつつ訪日客にも対応。高額紙幣の概算収受を避け、地方鉄道の省力化と観光振興を同時に狙う試みだ。
PayPay導入が開く地方観光新時代

PayPayは2025年4月、新たに6か国4つの海外キャッシュレス決済サービスと連携を発表した。これにより14の国と地域で使われる25のサービスの利用者が、日本国内でPayPay決済を行えるようになった。韓国、中国、台湾、香港、タイなど、訪日客数上位国のサービスが含まれる。
飯田線は秘境駅が注目を集め、年に数回「秘境号」と呼ばれる観光列車が走る。2019年には世界各国の審査員が選ぶ「COOL JAPAN AWARD 2019」を受賞し、JR東海も外国人客の増加を見込んでいる。
こうした状況を踏まえると、PayPay導入によって海外からの旅行者が路線を利用しやすくなれば、全国の秘境を観光資源として活性化できる可能性がある。日本各地には飯田線の秘境駅のように鉄道でしか行けない場所も多い。ワンマン列車でのPayPay決済実証実験は、利便性向上や乗務員の負担軽減を狙うと同時に、決済サービスの国際化を通じてローカル線の将来を支える試みとも言える。
本格導入が進めば、Wi-Fi環境の整備などサービス向上も期待でき、地方鉄道の利便性はさらに高まるだろう。