「昔はバイトで買えたのに」 新型プレリュード617万円、高額設定にネット反発で若者は遠のくのか?
アクティブシニア狙う復刻戦略

最新のプレリュードが600万円を超える高価格になる理由は、技術面と市場面、そして国内経済の三つの要因が絡む。
技術面では、ハイブリッドシステム「e:HEV」の搭載、安全装備「Honda Sensing」、高性能シャシー(シビックタイプRベース)、環境規制対応などが挙げられる。ホンダはハイブリッド技術の研究開発を長年続けており、その投資回収の意味も価格に反映されている。
市場面では、国内で台数が出にくいクーペの固定費を北米など海外市場で回収する戦略もある。加えて国内経済の要因は大きい。国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査」によれば、平均年収は約460万円である。しかしこれは平均値であり、三菱UFJ銀行の推定では全国平均は351万円に留まる。所得格差の拡大により、高額所得者が平均値を押し上げている。
バブル期の平均年収は465万円前後であったが、円安や物価上昇により、実質的な生活は厳しい状況にある。結果として、年収2年分に相当する600万円超の車は、国内の多くの人にとって手が届きにくい価格となる。ここに
「世界基準では妥当、日本では高すぎる」
という二重構造が生まれ、海外市場優先の戦略につながっている。
実際の日本市場におけるプレリュードの購買層は、50代以上のアクティブシニアである。今回のモデルは、50歳~60歳くらいの層を明確にターゲットとしている。自家用車をデートやステータスの象徴と捉えてきた世代で、バブル崩壊の影響を受けたが、現在は比較的資金力がある。メーカーはノスタルジーに着目し、
「かつて憧れだった車を今ならどうか」
と問いかける形を取っている。この構図はクラウンの「いつかはクラウン」に通じるものがある。ミニバンやSUVとは異なる市場への働きかけであり、最新プレリュードはアクティブシニアへのメッセージでもある。
若者はもはや対象外であり、販売台数よりもブランド価値の向上や復権を優先している。したがって「デートカーの再来」という表現は、若者の期待を裏切るものとなる。