東南アジア「自動車」戦国時代! タイの日系シェア71%に急落――中国部品で挑むトヨタの勝算は?
東南アジア自動車市場は311万台規模で、タイの日系シェアが71%に低下する一方、中国EV勢が16%に拡大。トヨタの中国部品採用を契機に、日中サプライチェーン競争が本格化し、構造変化の波が広がっている。
東南アジア自動車市場の覇権争い

日本車が独占してきた東南アジア市場が、大きな転換点を迎えている。タイでは長年にわたり新車販売のシェアが9割を超えていたが、2025年1~5月には71%まで低下した。
一方、中国車は16%に伸びている。比亜迪(BYD)や長城汽車などは、低価格の電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)で攻勢をかけている。日本勢も低価格のハイブリッド車(HV)を投入して対抗し、築いてきた牙城を守ろうとしている。東南アジア市場で日本勢と中国勢の対立が鮮明になりつつある。
こうした状況のなかで、日本経済新聞は2025年8月2日、トヨタ自動車がタイで中国部品メーカーからの調達を拡大すると報じた。これはコスト削減策にとどまらない。東南アジアの自動車産業の構造そのものが、日系企業中心のサプライチェーンから、
「中国系サプライヤーを巻き込んだ混成型」
へと変わり始めていることを示している。