東南アジア「自動車」戦国時代! タイの日系シェア71%に急落――中国部品で挑むトヨタの勝算は?
東南アジア自動車市場は311万台規模で、タイの日系シェアが71%に低下する一方、中国EV勢が16%に拡大。トヨタの中国部品採用を契機に、日中サプライチェーン競争が本格化し、構造変化の波が広がっている。
崩れ始めた日系供給網の独占構造

トヨタは2028年ごろ、東南アジアで新型車を発売する計画だ。EVやハHVなど幅広い動力方式に対応できる「マルチパスウェイプラットフォーム」を採用する。日経によれば、この新型車では中国系部品を取り入れ、従来比で3割のコスト削減を目指しているという。
具体的には、タイの主要取引先である部品大手サミット・グループに、中国の内装材メーカー「蕪湖躍飛新型吸音材料(Wuhu Yuefei)」を紹介し、2025年1月に合弁会社を設立した。両社はタイに工場を建設し、トヨタに部品を供給する方針だ。日本メーカーが主導して中国部品メーカーの現地進出を後押しするのは初めての例となる。サミット・グループは2009年、自動車用プレス金型で世界最大手のオギハラ(群馬県太田市)を買収し、傘下に収めている。
トヨタが中国部品調達を広げる背景には、成功体験がある。2025年3月、トヨタと広州汽車の合弁会社「広汽トヨタ」が中国で発売したEV「BZ3X」に多数の中国部品を使い、コスト削減に成功した。販売価格は約11万元(約220万円)と低く、発売1時間で予約台数が1万台を超えた。
この成果を踏まえ、トヨタは東南アジアでも現地のサプライチェーンを活用し、コスト競争力を高める考えだ。この調達方針の転換は、従来の日系サプライチェーンの枠組みを崩す大きな動きとなる。今後はホンダや日産、三菱自動車といった競合に波及し、地域全体のサプライチェーン再編を促す可能性が高い。