東南アジア「自動車」戦国時代! タイの日系シェア71%に急落――中国部品で挑むトヨタの勝算は?
東南アジア自動車市場は311万台規模で、タイの日系シェアが71%に低下する一方、中国EV勢が16%に拡大。トヨタの中国部品採用を契機に、日中サプライチェーン競争が本格化し、構造変化の波が広がっている。
東南アジア供給網の混成化

従来、東南アジアでは日系自動車メーカーと日系部品メーカーによるピラミッド型の供給体制で盤石な基盤を築いてきた。しかし今後は、日系自動車メーカーと中国系部品サプライヤーの「混成モデル」への移行が進む転換点を迎えている。地元部品メーカーの立場も変化し、中国企業との合弁や提携が急増する可能性が高い。
日系サプライヤーの競争力が低下すれば、淘汰されるリスクは増し、危機感はさらに強まるだろう。東南アジアは、日中の競争が鮮明化する新たな舞台となりつつある。
では、日系サプライヤーの課題はどこにあるのか。まずコスト競争力の不足が挙げられる。これまでは高品質を武器にしてきたが、現地市場では価格が優先される傾向が強く、価格以外で差別化できなければ立ち行かなくなる。
さらに、EV関連部品の開発や生産で遅れるサプライヤーもある。特にモーター、バッテリー、パワーエレクトロニクス分野では中国勢が優位に立ちつつある。
加えて、意思決定の遅さも致命的な課題だ。中国勢は開発、調達、投資などで迅速に行動するが、日本勢は周回遅れになりがちだ。人材や技術の現地移転でも、タイムリーな判断ができず遅れをとるケースが目立つ。こうした課題を早急に克服しなければ、東南アジアでの存在感を維持することは困難になる。