バブル期の若者は、なぜ無理して「クルマ」を買ったのか? 現代と真逆の消費を促した3つの要因とは

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バブル期の若者は初任給15万前後でも300万超のクルマをローンで購入した。低金利や社会的圧力、資産高騰の幻想が背景だ。現代は収入不安と交通環境の整備でクルマ離れが進み、都内Z世代の72.8%がその実感を持つ。

現代の若者が無理して買わない理由

バブル期のイメージ(画像:写真AC)
バブル期のイメージ(画像:写真AC)

 バブル期の若者はクルマを持つことを当然と考えていたが、現代の若者はむしろ「クルマは必須ではない」と考える傾向が強い。その背景には、当時とは正反対の社会構造がある。

 現代は非正規雇用の拡大や昇給の鈍化で、将来の収入増が見込みにくい。ローンを組んで背伸びする心理的余裕は薄れ、生活の安定を優先する意識が強い。無理に高額なクルマを購入するリスクを避ける傾向が顕著である。加えて住宅費や教育費、医療費など生活費の負担も増し、自由に使える可処分所得が減少していることも心理的な抑制要因になっている。

 都市部では公共交通が発達し、カーシェアやレンタカーも普及した。「必要なときに借りればよい」という選択肢が現実的になり、クルマの必須性は大きく低下した。地方でも維持費や税金、駐車場費用が重くのしかかり、マイカーを所有することは必須ではなくなりつつある。都市計画の変化でコンパクトシティや駅近居住が増え、クルマなしでも生活が成り立つ環境が整いつつある。

 SNS時代の若者はクルマよりもファッションやガジェット、旅行体験など「共有可能な経験」に価値を置く。かつてのようにクルマがモテや成功の象徴ではなく、ステータスとしての力は低下している。情報が瞬時に拡散する社会では、消費の価値は「見せること」より「体験の質」にシフトしている点も影響する。

 さらに、気候変動や脱炭素が意識されるなかで、燃費の悪いクルマを所有することに後ろめたさがともなう。若者は所有より利用、浪費より合理性を重視し、消費行動に環境意識や社会的評価が反映される傾向が強い。こうした背景から、クルマ離れは単なる個人の趣向ではなく、社会全体の構造的変化として理解できる。

 KINTO(愛知県名古屋市)が実施した調査によると、普通自動車免許を持つ東京都内在住のZ世代(18歳~25歳)309人と地方在住のZ世代300人を対象に、2025年版「Z世代のクルマに対する意識比較調査」を行った。なお、本調査は2022年からの定点調査である。

 調査では、東京都内のZ世代の72.8%が「若者のクルマ離れ」を実感しており、昨年より21.5ポイント増加した。83.7%が「クルマのサブスク」を検討しており、都内では92.0%と需要の高まりが顕著だった。また賃上げを受け、都内の8割、地方の約7割が、収入が増えれば「消費を増やす」と回答している。

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