都営バスの渋谷営業所は、なぜ「都営住宅の敷地内」にあるのか?

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山手線内の一等地に立地する都営バス渋谷営業所は、敷地内に1969年竣工の都営住宅を併設。110台規模の車庫と住宅の共存は、高度経済成長期の都市交通と住宅政策が結びついた先駆的モデルであり、都市の効率的土地活用と公共交通維持の課題を浮き彫りにしている。

渋谷車庫にみる複合都市拠点

都営バス渋谷自動車営業所の位置(画像:東京都交通局)
都営バス渋谷自動車営業所の位置(画像:東京都交通局)

 都営バス渋谷営業所が都営住宅の敷地内にある根本理由は、高度経済成長期の都市交通需要と住宅不足を同時に解決する行政的土地活用戦略にあった。戦後の渋谷は、山手線を中心とした都市交通網が発達し、郊外から都心へ乗り入れるバス路線の効率的運行が不可欠だった。

 一方で住宅不足が深刻で、広大な車庫用地を住宅建設に活用することは「一石二鳥」の政策であった。結果として、バス運行の効率化と住宅供給を両立させるモデルが成立し、渋谷営業所と渋谷東二丁目第2アパートの併設はその典型例である。

 渋谷はスタートアップ企業や小規模事業者が多く、スペースの需要も高い。土地利用効率を高めるには、住環境だけでなく

「労働環境とのバランス」

も重要になる。都心部の公共交通拠点はありふれた車庫にとどまらず、住宅、労働、防災、地域交流を兼ねた複合施設への進化も可能である。こうした機能拡張は、公共交通利用の促進にもつながり、渋谷の事例は都市交通と住宅政策の接続を考える上での評価基準となる。

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