都営バスの渋谷営業所は、なぜ「都営住宅の敷地内」にあるのか?
山手線内の一等地に立地する都営バス渋谷営業所は、敷地内に1969年竣工の都営住宅を併設。110台規模の車庫と住宅の共存は、高度経済成長期の都市交通と住宅政策が結びついた先駆的モデルであり、都市の効率的土地活用と公共交通維持の課題を浮き彫りにしている。
渋谷都営住宅老朽化と再編の現実

最大の懸念は都営住宅の老朽化だ。1969年竣工からすでに56年が経過し、内装は改修できても外装には限界が迫る。「渋谷営業所」周辺の地価は1平方メートルあたり120万~150万円と高水準で、近年も上昇傾向にある。
・出入庫距離の短さ
・替車庫確保の難しさ
を考慮すれば、現時点で商業施設や専用住宅への転用は現実的ではない。住宅部分のみを更新するシナリオが最も現実的といえる。
住宅の入居者にとっては、バス車庫にともなう騒音や排気ガス、振動などの影響があったと推察される。ただし、隣接住宅への入居時点で一定の理解があったとみるべきだろう。むしろ今後は、
・車両の大型化や連節バス導入
・電動化にともなう充電設備の確保
といった新たな課題が顕在化する。
さらに災害時の避難導線、防災機能の制約も無視できない。少子高齢化時代にあっては、減便や車両大型化による効率的運行、エコロジー要請への対応、公営住宅更新にともなうバリアフリー化、自動運転やオンデマンド交通の導入を踏まえた車庫スペース再設計が不可欠になる。
それでも大規模ターミナル近接の営業所が持つ優位性は揺るがない。短距離回送で安定的に運行を確保できるメリットは、今後も都市交通にとって大きな価値を持ち続ける。