全米自動車労組がSNSで激怒──「米国労働者が置き去り」 日米協定批判の矛先は日本企業で正しいのか?
- キーワード :
- 自動車
2025年7月、日米は日本車に15%の関税を課す新たな貿易合意に到達した。累計10兆円超の米国投資と1億台超の国内生産を背景に、日本企業は米国製造業の重要な一翼を担う。だが、制度の不整合や地域間格差が労働環境の不安定化を招き、UAWら労働組合の反発は根深い。多様な貿易・税制政策が統一的な産業戦略に欠け、グローバル競争の公正性と雇用の持続性が問われている。
産業政策の統合再考
UAWが心配を示す背景には、制度のズレが労働環境の安定を壊している現実がある。
輸入車を批判する理由は外からの脅威ではなく、制度のなかの仕組みが生む不確かな状況への不満である。特に、南部の組合がない工場と北部の組合がある工場が同じ政策で違う扱いを受けるのは、企業にも労働者にもよくない。
今必要なのは、いくつもの政策がひとつの産業の仕組みに合うようにまとまることである。関税、優遇税制、原産地ルール、労働基準、インセンティブ政策は、ばらばらに決めるのではなく、共通の産業戦略のもとで作るべきだ。輸出や関税の数字だけを比べても、本当の力関係はわからない。
値段が決まる背景には、為替、資本の回収、地域の設備、規制を守る費用、教育投資など、多くの要素が関わっている。これらを考えて、制度全体をまとめて作り直すことが必要だ。
この考えから見ると、日本車が安い関税で入ってくることが問題ではない。問題は国や地域の産業戦略が合わず、
「誰がどんな条件で競争しているのか」
がわからない市場があることだ。こうなると、企業は長い間の投資に意味を見いだせず、労働者も仕事の安定を信じられなくなる。米国の政策は、労働者の保護と産業の強さが失われる危険な状態にある。