全米自動車労組がSNSで激怒──「米国労働者が置き去り」 日米協定批判の矛先は日本企業で正しいのか?
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2025年7月、日米は日本車に15%の関税を課す新たな貿易合意に到達した。累計10兆円超の米国投資と1億台超の国内生産を背景に、日本企業は米国製造業の重要な一翼を担う。だが、制度の不整合や地域間格差が労働環境の不安定化を招き、UAWら労働組合の反発は根深い。多様な貿易・税制政策が統一的な産業戦略に欠け、グローバル競争の公正性と雇用の持続性が問われている。
グローバル供給網の現実

UAWは日本メーカーの自動車輸出が米国市場を荒らしていると批判する。しかし、実態は大きく異なる。2025年6月の日米関税交渉のさなか、日本自動車工業会(自工会)は年次レポート「Moving American Manufacturing Forward」を発表した。
このレポートは、日本の自動車産業が米国に対して行ってきた投資や雇用、生産の実態を示している。1982年以降の累計投資額は
「664億ドル(約10.6兆円)」
に達し、米国内で生産された車両は1億台を超える。直接雇用は11万人にのぼる。トヨタ、ホンダ、日産などの日本メーカーは米国内に
・製造拠点:24か所
・研究拠点:43か所
・物流拠点:70か所
を展開している。サプライチェーンの現地化率やディーラー網への投資、教育研修支出、地元納税などでも確かな実績を積み上げている。日本企業は
「米国製造業の一部」
として機能している。この点は今後も強くアピールすべきだ。関税緩和の恩恵を受けるのは、日本からの輸出車だけでなく、米国拠点を持つグローバルなサプライチェーン企業群であることを忘れてはならない。