全米自動車労組がSNSで激怒──「米国労働者が置き去り」 日米協定批判の矛先は日本企業で正しいのか?

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2025年7月、日米は日本車に15%の関税を課す新たな貿易合意に到達した。累計10兆円超の米国投資と1億台超の国内生産を背景に、日本企業は米国製造業の重要な一翼を担う。だが、制度の不整合や地域間格差が労働環境の不安定化を招き、UAWら労働組合の反発は根深い。多様な貿易・税制政策が統一的な産業戦略に欠け、グローバル競争の公正性と雇用の持続性が問われている。

複雑化する貿易優遇策

UAWのウェブサイト(画像:UAW)
UAWのウェブサイト(画像:UAW)

 現在、カナダやメキシコから米国に輸入される自動車や部品には、およそ25%の関税がかけられている。一見すると、この関税は米国の産業を守るための仕組みに見える。しかし、北米自由貿易協定(USMCA)では、北米で作られた部品が一定の割合を超える製品には、関税が軽くなる優遇措置がある。自動車の原産地ルールは75%に引き上げられ、条件を満たせば関税を免除される仕組みだ。

 ただし、この優遇措置は対象が限られているうえ、認定する手続きが難しく、部品ごとの管理費用も増えている。そのため、現場の負担は大きく、多くの製品が優遇の対象から外れる見込みだ。

 一方で、日本からの輸入車には今後15%の関税が課される予定だ。これを見ると、北米内で作られる車より優遇されているように見える。しかし、問題は関税の割合ではなく、貿易協定や優遇措置、税制がばらばらに適用されていることにある。

 韓国との協定では25%の固定関税が予定されているが、製品の条件は緩やかで、価格の競争力への影響は小さいとされている。同じ市場なのに、異なるルールのせいで競争条件が予測しにくくなっている。

 さらに、米国の連邦政府や州の電気自動車(EV)優遇策では、どこに工場があるかや労働組織によって支援が変わる。このことが投資や部品の流れに混乱をもたらしている。税制と貿易政策が別々に動いている証拠であり、ひとつの市場で政策がばらばらなのが産業の判断を難しくしている。

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