チャイルドシートは「金具固定」が新常識? シートベルト式が抱える事故リスクと最新基準の現状とは
欧州発の新基準「R129」によって急拡大するISOFIX対応チャイルドシート市場。装着ミスを防ぐ構造と高い安全性が評価され、新車の標準装備化が進む。国内の装着率は過去最高の78.2%を記録し、価格や機能をめぐる消費者意識も変化している。安全と経済性の交差点に立つ新市場の今を追う。
安全強化の新基準i-Sizeの実態

ISOFIX化を強く後押ししているのが、国際的な安全基準の統一である。2013年、欧州で「ECE R129(通称i-Size)」という新しいチャイルドシート安全基準が導入された。このR129基準は、従来のR44基準に比べて安全性が大幅に強化されている。主な変更点は、
・側面衝突試験の追加
・体重基準から身長基準への移行
・後ろ向き装着期間の延長(15か月未満まで)
である。
R129基準では、i-Size適合製品にISOFIX固定を義務付けている。これにより従来のシートベルト固定方式よりも確実に装着できるようになった。R129全体では一部シートベルト固定も認められているが、ISOFIX固定が主流である。さらに後ろ向き装着期間は生後15か月未満まで義務付けられ、身長76cm未満の場合は前向き使用が禁止されている。
日本でもこの基準に準拠した製品の普及が進んだ。ISOFIX対応チャイルドシートやi-Size対応車両が市場に広く流通している。厳しい身長基準により、子どもの体格に合ったチャイルドシート選びが可能になり、安全性低下のリスクも軽減されている。
このように、国際基準の導入がISOFIX化の大きな原動力となっている。