チャイルドシートは「金具固定」が新常識? シートベルト式が抱える事故リスクと最新基準の現状とは

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欧州発の新基準「R129」によって急拡大するISOFIX対応チャイルドシート市場。装着ミスを防ぐ構造と高い安全性が評価され、新車の標準装備化が進む。国内の装着率は過去最高の78.2%を記録し、価格や機能をめぐる消費者意識も変化している。安全と経済性の交差点に立つ新市場の今を追う。

普及の背景と課題

 子どもの命を守るために欠かせないチャイルドシート。その取り付け方法として、近年急速に普及しているのが「ISOFIX(アイソフィックス)」である。ISOFIXは、自動車の座席にある金属製のバー(ISOFIXアンカー)にチャイルドシートのコネクタを直接固定する方式だ。シートベルトを使わずに取り付けられるため、誰でも短時間で確実に装着できるのが最大の特徴である。

 警察庁と日本自動車連盟(JAF)が2024年に行った全国調査によると、チャイルドシートの使用が義務付けられている6歳未満の子どもの使用率は78.2%で、過去最高を更新した。年齢別に見ると、1歳未満で91.7%、1~4歳未満で80.7%と高い使用率を維持しているが、5歳になると57.9%まで大きく下がることも判明している。

 シートベルト式はベルトの通し方や締め具合に個人差が出やすく、十分に固定できないケースが多い。一方、ISOFIX方式はコネクタを「カチッ」と音がするまで差し込むだけで、誰でも確実に固定できるため、取り付けミスのリスクが大幅に減る。

 従来のシートベルト固定と比べて誰でも簡単かつ確実に装着できることから、各国で導入が進み、日本でも新車のほとんどがISOFIX対応になっている。

 本稿では、ISOFIXの普及背景やメリット、課題、今後の展望を、最新の調査データや国際基準とともに解説する。

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