「クルマなし = 負け組」 なぜバブル期の若者はクルマで価値を競ったのか? 女子大生3割の意識が映す時代背景とは

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1980年代後半から90年代初頭のバブル期、若者文化の中心にあった「クルマ所有」は単なる移動手段を超えた社会的象徴だった。女子大生の26%が「男性の魅力に車所有」を挙げた調査も示すように、クルマは恋愛・行動範囲を左右し、若者の自己表現と承認欲求を体現した。だが現代は多様化とデジタル化が進み、かつてのような「物=自己証明」の時代は終焉。経済成長の裏で揺れ動いた若者の真剣な挑戦から、自己位置づけと社会参加の新たな手法を探る必要がある。

「クルマ所有」という恋愛条件

『東京クルージング・デートブック』(画像:講談社)
『東京クルージング・デートブック』(画像:講談社)

 若年男性向け情報誌『スコラ』1988(昭和63)年1月28日号の調査によると、女子大生200人のうち26%が、男性の魅力の条件に「クルマ所有」を挙げている。つまり、クルマを持っていなければ、

「約4回に1回は無条件でフラれる」

計算になる。

 クルマが重視された背景には、前述のとおり、当時のデートスポットが公共交通の未発達な東京湾岸に多く点在していたことがある。

 1989(平成元)年に講談社から発行されたデートマニュアル本『東京クルージング・デートブック』の帯には、

「クルマを飛ばしてアーバンからサバーバンを元気いっぱい遊びまくろう!」
「ダッシュボードに常備のスーパー・デートバイブル」

と記されている。この「サバーバン」は、都市中心部(アーバン)に対する「郊外エリア」を意味する言葉だ。こうした文言からもわかるように、当時はデートの計画にもクルマが不可欠だった。

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