「クルマなし = 負け組」 なぜバブル期の若者はクルマで価値を競ったのか? 女子大生3割の意識が映す時代背景とは

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1980年代後半から90年代初頭のバブル期、若者文化の中心にあった「クルマ所有」は単なる移動手段を超えた社会的象徴だった。女子大生の26%が「男性の魅力に車所有」を挙げた調査も示すように、クルマは恋愛・行動範囲を左右し、若者の自己表現と承認欲求を体現した。だが現代は多様化とデジタル化が進み、かつてのような「物=自己証明」の時代は終焉。経済成長の裏で揺れ動いた若者の真剣な挑戦から、自己位置づけと社会参加の新たな手法を探る必要がある。

若者たちの実像

新谷かおる『ふたり鷹』(画像:グループ・ゼロ)
新谷かおる『ふたり鷹』(画像:グループ・ゼロ)

 それでも、若くしてスーパーカーを手に入れた猛者は存在した。『スコラ』1987(昭和62)年9月24日号では、「こ~すれば夢のクルマが手に入る!!」と題し、憧れの一台を手にしたオーナーたちの実例を紹介している。

 登場する彼らの多くは、ほぼ“執念”と“貯金”だけでクルマを購入している。なかでも圧倒的な熱量を持つ人物として取り上げられているのが、漫画家・新谷かおる氏だ。

 記事によれば、新谷は中学生の頃から「死ぬほど欲しかった」トヨタ・2000GTを、漫画家として成功後に「ムチャクチャに無理して」購入。貯金はすべて消え、生活を支えるために必死に仕事をこなさざるを得なくなったという。その結果生まれたのが、代表作『ふたり鷹』『エリア88』である。2000GTは単なる趣味を超え、創作の原動力にもなった存在だった。ちなみに『エリア88』は近年、漫画配信サイトで全巻無料公開され、ネット上で再び注目を集めた。

 一方で、外車に夢中になる男性たちへの評価は、女性から必ずしも好意的ではなかった。彼らに対する女性の視線は冷ややかで、

・見栄っ張り
・成金っぽい

などと否定的な意見も多かった。総合男性誌『GORO』1988年3月10日号の調査によると、女子大生の約8割が国産車を支持。しかもすべての国産車が好印象だったわけではない。
セドリック、グロリア、プレリュード、レビンといった車種は格好よいとされる一方、

・マークII
・クラウン

は人格を疑うレベルとまで酷評される対象だった。

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