東京で「最も高い駅」「最も低い駅」は一体どこにあるのか?

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東京の鉄道駅に広がる標高差は、単なる地形の違いではない。六本木駅の地下42.3mから、大展望台駅の標高881mまで──その背後には、交通政策、土地利用、事業者戦略など多層的な判断が潜む。交通網の「高さ」を読むことが、都市の構造と未来を読み解く鍵となる。

駅の標高に宿る事業者の投資戦略

御岳山駅(画像:写真AC)
御岳山駅(画像:写真AC)

 こうした高低差は、地形だけで決まったものではない。駅をつくるときに決められた、いくつもの技術的・制度的な判断が重なった結果でもある。

 駅の高さは、ただ土地が高いか低いかだけでなく、街の開発がどこから始まったか、どこまで土地を使えるか、鉄道会社どうしの投資のしかた、そして交通をどう整えるかという計画など、多くの要素に影響されてきた。

 例えば、地下に深くある駅は、地上の建物や土地の権利を避けるため、あるいは他の路線とかち合わないようにするために、そのような場所に建てられた。

 逆に、標高が高い駅は、郊外の人の動きを考えた交通の見直しや、観光地としての活用といった目的に応じて、必要とされてつくられた。鉄道会社の利益の出し方や、観光客を呼び込む作戦とも関係している。

 駅の高低差をよく見ることで、街の中の土地の使われ方や、交通のしくみがどのようになっているかがわかってくる。これから、鉄道のあり方が次々変わっていくなかで、なぜその場所に駅があるのか、どうしてそう設計されたのかを知ることが、都市の未来を考える手がかりになるかもしれない。

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