熊本バス改革“最大の犠牲者”は「10代」か? 9.7%にとどまるクレカ決済、ICカード廃止が生む移動格差の実態とは
全国交通系ICカードの取り扱いを中止した熊本県の交通5社。代替として導入されたタッチ決済型クレカの利用率はわずか9.7%にとどまる。影響を大きく受けたのは、高齢者ではなく10代の学生だった。制度設計の盲点が、移動の自由を奪っている。
ICカード更新費用の壁

2024年11月、熊本県の鉄道・バス事業者5社(産交バス、九州産交バス、熊本バス、熊本電鉄、熊本都市バス)が、一斉に全国交通系ICカードによるキャッシュレス乗車を中止した。これは地方都市の交通事業者にとって、更新費用の高さが大きな負担となったためである。
代わりに導入されたのが、
「タッチ決済対応のクレジットカード」
だ。近年、三井住友カードが主導し、多くの交通事業者がこのシステムを採用している。成長著しい新たな決済手段といえるが、熊本県の5社が導入したタッチ決済システムが、交通系ICカードの代替として機能しているかは疑問が残る。
現状では、状況は必ずしも順調とはいえない。