熊本バス改革“最大の犠牲者”は「10代」か? 9.7%にとどまるクレカ決済、ICカード廃止が生む移動格差の実態とは

キーワード :
, ,
全国交通系ICカードの取り扱いを中止した熊本県の交通5社。代替として導入されたタッチ決済型クレカの利用率はわずか9.7%にとどまる。影響を大きく受けたのは、高齢者ではなく10代の学生だった。制度設計の盲点が、移動の自由を奪っている。

熊本交通5社の決済改革最前線

熊本市内(画像:写真AC)
熊本市内(画像:写真AC)

 2025年6月23日に開催された令和7年度第1回熊本県地域公共交通協議会で、導入から3か月が経過したクレジットカードのタッチ決済利用率が報告された。。

 熊本県内の路線バス5社で構成される共同経営推進室は同日、5月のクレジットカードなどによるタッチ決済の利用率が

「平均9.7%」

だったと発表した。今後、周知を進めて利用率の向上を目指す。新タッチ決済は2月24日に5社の路線バスおよび熊本電鉄の電車ほぼ全線で本格導入された。開始1週間の利用率は平均5.5%だったが、3か月で徐々に伸びている。一方、5月の運賃支払いでは「くまモンのICカード」が約65%、現金が約25%を占めており、タッチ決済の利用率は依然として低い。同日の公共交通協議会で、高田晋室長(熊本都市バス社長)は

「現金払いを減らして、タッチ決済を増やしたい」

と述べた(『熊本日日新聞』6月26日付け)。

 期待と不安が交錯するタッチ決済乗車だが、現状の利用率は現金決済に大きく及ばず、全国交通系ICカードの補完とはいい難い。とはいえ、導入当初より利用率が伸びている点は評価できる。

 近年、クレジットカードは更新時に自動的にタッチ決済対応の新カードが送られるようになった。デビットカードも同様の仕組みだ。パンデミック以前の日本は「タッチ決済が普及していない国」と指摘されていたが、その後急速に普及し、生活に欠かせない存在となった。

 しかし、クレジットカードの保有は所得のある成人に限られる。審査があるため、全国交通系ICカードよりも所持のハードルははるかに高い点に留意すべきである。

全てのコメントを見る