熊本バス改革“最大の犠牲者”は「10代」か? 9.7%にとどまるクレカ決済、ICカード廃止が生む移動格差の実態とは

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全国交通系ICカードの取り扱いを中止した熊本県の交通5社。代替として導入されたタッチ決済型クレカの利用率はわずか9.7%にとどまる。影響を大きく受けたのは、高齢者ではなく10代の学生だった。制度設計の盲点が、移動の自由を奪っている。

未成年世代のキャッシュレス拒否率

クレジットカード(画像:写真AC)
クレジットカード(画像:写真AC)

 全国交通系ICカードの取り扱い中止で最も動揺しているのは、実はシニア世代ではなく

「未成年世代」

である可能性が高い。成人年齢は20歳から18歳に引き下げられたが、未成年の多くは未就労の学生で収入がない。そのため、クレジットカードを作ることは難しい。審査不要のデビットカードも同様で、定期的な預金がなければ利用のハードルは高い。

 実際、2024年末から2025年2月まで国土交通省が主導した完全キャッシュレスバスの実証運行報告書には、「10代こそがキャッシュレス決済に対応できない世代」というデータが明確に示されている。

 全国18事業者29路線で行われたこの実証運行は全体的には好評で、1274人のアンケート回答者のうち64.8%が「完全キャッシュレスバスの導入を進めてほしい」と答えた。しかし、「導入を進めてほしくない」と回答した177人(13.9%)の内訳を世代別に見ると、60代のうち66.3%が賛成、10.2%が反対。50代は62.7%が賛成、13.4%が反対だった。

 一方、10代以下95人のうち57.9%が賛成だが、28.4%が反対と割合が高い。国交省資料でも赤枠で強調されている。20代228人の賛成率は66.2%、反対率は15.8%であった。

 若年層ほど完全キャッシュレスバス導入に否定的な傾向が強く、

「高齢者がキャッシュレスに対応できない」

という通説を覆す結果となった。

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