N-BOX独走に異変? ダイハツ「新型ムーヴ」3万台受注の衝撃──軽市場を揺るがす「地方のリアル需要」の正体

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11年ぶりに刷新されたダイハツ「ムーヴ」が、発売1か月で月販目標の5倍・約3万台を受注。ホンダN-BOXの独走に変化の兆しが見え始めた。商品設計から流通戦略まで、構造変化の波は軽自動車市場全体に広がっている。

3万台受注が示す実需反応

新型ムーヴ(画像:ダイハツ工業)
新型ムーヴ(画像:ダイハツ工業)

 ダイハツは、軽乗用車「ムーヴ(MOVE)」を約11年ぶりにフルモデルチェンジし、2025年6月5日から発売を開始した。1995(平成7)年の初代誕生から30年。7代目となる新型ムーヴは、累計販売台数250万台超を誇るロングセラーモデルの最新版である。

 新型の開発コンセプトは、

「今の私にジャストフィット 毎日頼れる堅実スライドドアワゴン」

実用性と信頼性を重視した設計が特徴で、ダイハツ独自のプラットフォーム「DNGA(Daihatsu New Global Architecture)」をベースに、スライドドアを標準装備するなど、日常使いに最適化した。

 テレビCMでは、山下達郎による書き下ろし楽曲「MOVE ON」と、永井博のイラストによる1980年代風のビジュアルが注目を集めた。レトロと現代性が融合した演出は、かつての軽自動車黄金期を知る世代に強く訴求し、SNS上でも「懐かしくて新しい」と話題を呼んでいる。

 発売からおよそ1か月が経過した2025年7月上旬時点で、累計受注台数は月販目標6000台の5倍となる

「約3万台」

に達した。極めて好調な立ち上がりであり、市場の期待値を大きく上回るスタートとなった。

 本稿では、ダイハツ・新型ムーヴがなぜこれほどまでに支持を集めているのか、その商品戦略を分析するとともに、軽市場の絶対的王者ホンダ・N-BOXとの販売競争にどのような構造的変化が起きているのかを検証する。

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