『ドラえもん』に登場した「空き地」はなぜ消えたのか?──昭和時代まで日常だった“余白のある”風景の終焉とは
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ドラえもんの「土管のある空き地」はなぜ消えたのか? 1970年代まで日常だった風景が、なぜ現代都市から姿を消したのか。地価の4倍超高騰、471の自治体が定める「空き地条例」の背景に迫る。
可処分時間を奪う通塾圧力

『ドラえもん』に登場するような、放課後に毎日集まり遊ぶ子どもたちの姿は、現代の都市ではほとんど見られなくなった。
2016年に実施された小学校高学年向けの調査によると、子どもの外遊び時間は1981(昭和56)年の2時間11分から、2001(平成13)年には1時間47分、2016年には1時間12分まで減少している。35年間で外遊びの時間は
「30%以上」
減った(シチズン時計調べ)。
さらに、2009年度から2018年度にかけて行われた別の調査では、1~6歳の保育園児の外遊び時間は平均で30分以下にとどまった。降園後に60分以上遊ぶ幼児は10~20%にすぎず、多くの子どもが屋外で過ごす時間を持てていない(高橋昌美「幼児の生活と余暇時間の過ごし方および健康管理上の課題」)。
背景には、習い事の普及がある。ベネッセ教育総合研究所の長期調査では、小学生の約8割、中学生の5割、高校生の2割が何らかの習い事を行っている。学習塾への通塾も増加傾向にある。中学生の通塾率は5割、小学4~6年生と高校生は3割、小学1~3年生でも2割弱に達する。受験を見据えた通塾が広がっている。
この結果、子どもの可処分時間(自由に使える時間)は大きく圧迫されている。限られた時間の多くは、デジタル機器による遊びに費やされている。MM総研の2024年9月の調査では、18歳未満のスマートフォン所有率は47.9%。利用時間は週あたり1219分(約20時間)に達する。
こうした状況のなか、空き地で遊ぶ子どもの姿は、現実にはほとんど消え、『ドラえもん』の世界にのみ残された情景となっている。