『ドラえもん』に登場した「空き地」はなぜ消えたのか?──昭和時代まで日常だった“余白のある”風景の終焉とは

キーワード :
ドラえもんの「土管のある空き地」はなぜ消えたのか? 1970年代まで日常だった風景が、なぜ現代都市から姿を消したのか。地価の4倍超高騰、471の自治体が定める「空き地条例」の背景に迫る。

急騰地価で消えた遊休スペース

昭和のイメージ(画像:写真AC)
昭和のイメージ(画像:写真AC)

 1970年代以降、空き地の消失を定量的に証明することは難しい。統計上、「空き地」という分類が存在しないためだ。国の土地管理では「宅地」「農地」「山林」「その他」と利用目的ごとに分類されているが、空き地は区分に含まれていない。

 ひとつの指標となるのは、国土交通省が公開している「東京圏における地価の累積変動率」である。1975(昭和50)年を100とした指数は、1990(平成2)年には

・商業地:450.6
・住宅地:438.4

まで上昇している。

 地価の急騰は都市の空間の意味を大きく変えた。かつては特に用途がなくても放置されていた空き地が、この時期を境に収益を生まないリスク資産と見なされるようになったのだ。土地価格の高騰により、建物が建っていない未利用地は

「機会損失」

とされ、空き地をそのままにすることが社会的・経済的に悪と認識された。

 こうして都市内の未利用地は次々に開発され、空き地が残ることは難しくなったのである。

全てのコメントを見る