なぜ東京・三軒茶屋は「没個性な街」を回避できたのか? 27階タワーと元闇市が共存する奇跡の再開発、その住民参加の全貌とは

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東京都世田谷区・三軒茶屋は、急増した人口と再開発の波の中で、住民反発を経て独自の共存モデルを築いた。27階建てのキャロットタワーと昭和の商店街が調和し、SUUMO住みたい街ランキングで常に上位50位以内を維持。住民主導の対話を重視したまちづくりが、画一化に抗う都市再開発の新たな指標となっている。

再開発と闇市が交わる街区

三軒茶屋(画像:写真AC)
三軒茶屋(画像:写真AC)

 都市再開発への不満として、多くの人が挙げるのが「どこも同じような街になった」という感覚だ。タワーマンションとチェーン店が並ぶ東京の風景は、画一化の象徴でもある。そのなかで、三軒茶屋は異彩を放つ。東京都世田谷区東部に位置し、渋谷からの直線距離は約3km。電車ならわずか5分で到着する好立地にある。

 この街には、

・再開発の象徴である「キャロットタワー」
・闇市から発展した昭和の面影を残す「エコー仲見世商店街」

が同時に存在している。ランドマークと闇市の記憶が交差する空間が、いまも日常として続いている。

 なぜ三軒茶屋では、開発と保全の共存が可能だったのか。その背景を探る。

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