高速道路「暫定2車線」はなぜ事故が多い? 3400kmに潜む“死角”の正体――中央分離帯はワイヤーロープで本当に安全?

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日本の高速道路網は約3400kmに及ぶ暫定2車線区間を抱え、安全性や拡幅計画の課題が顕在化している。コスト効率を優先しつつも、事故リスク軽減のため中央分離帯の最適化が急務だ。

地域差と管轄で異なる設置基準

ワイヤーロープとラバーポールの区間が混在している山陰道(画像:都野塚也)
ワイヤーロープとラバーポールの区間が混在している山陰道(画像:都野塚也)

 暫定2車線区間でのワイヤーロープとラバーポールの使い分けについて先に述べたが、現状では使用区間ごとの統一的な基準や意図は見られない。これは地域や路線ごとに環境や条件が異なるためと考えられる。具体的には、

・気候
・交通量
・道路構造
・事故件数
・橋梁やトンネルの有無

など、多様な要素を総合的に判断して中央分離帯の設置物が決定されている。また、管轄する会社や機関も異なるため、予算や運用方針の違いが設置状況に影響している。将来的な片側2車線化を視野に入れた設置計画も必要になる。

 次に、諸外国の高速道路の車線数を見ると、両側合わせて3車線以下の路線は非常に少ない。例えば米国では全体の約2%、フランスでも約6%にすぎない。韓国は1992年に暫定2車線を全廃し、2015年までに全路線が片側2車線以上となった。日本だけに暫定2車線区間が多いのは、

・国土の狭さや山岳地帯の多さ
・台風や雪、地震といった自然災害

の多さが影響している。これらが高速道路の建設・維持に大きな費用と労力を要する要因だ。

 しかし、このまま暫定2車線区間の課題を放置するわけにはいかない。参考になる例としてスウェーデンの高速道路がある。スウェーデンでは両側合わせて3車線を確保し、片側1車線に加え中央の車線は両側共用の追越車線となっている。ただし、このまま導入すると正面衝突の危険性が高まるため、時間帯によって車線の通行方向を変える可変車線の採用が検討されている。実際、東京都内の一般道でも可変車線が運用されている例がある。

 さらにスウェーデンはAIを活用した交通量や状況に応じた「可変制限速度システム」や、幅広い中央分離帯の設置により高速道路の安全性向上を図っている。日本独自の対策が必要ではあるが、こうした海外の取り組みは十分に参考になるだろう。

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