常磐自動車道が全線開通するまで「34年」もかかった根本理由

キーワード :
,
首都圏と東北地方を結ぶ常磐自動車道は、全線開通から10年で経済波及効果3兆円超を記録。物流拠点の急増や観光客数の変動など、沿線地域に多様な影響を及ぼしつつも、震災復興や利用実態の課題も浮き彫りとなった。今後は単なる通過路線にとどまらず、地域活性化の基盤としての役割拡大が求められている。

東北道と常磐道の棲み分け進展

冬の秋田道(画像:写真AC)
冬の秋田道(画像:写真AC)

 常磐道の全線開通により、東北道とのダブルネットワークが形成されたことは大きな意味を持つ。東京から仙台への高速道路移動では、全線開通前は約9割が東北道経由だったが、開通後は東北道経由が約6割、常磐道経由が約4割に変化した。

 常磐道のメリットは、

・交通量が全体的に東北道より少ない
・冬季の積雪リスクがほとんどない

ことにある。東北道は山岳地帯を通る区間が多く、冬季は積雪による通行止めや規制が発生しやすい。一方、常磐道は主に海岸沿いを走るため、積雪による影響を受けにくい。

 次に、東北地方の他路線における高速道路開通の経済効果をみてみる。1991(平成3)年に初区間が開通し、現在も延伸中の秋田自動車道(秋田道)は、1994年に東北道の北上JCTと接続した。これにより、東北道から秋田市までがつながった。

 2023年3月、NEXCO東日本と秋田経済研究所が秋田道の初区間開通から約30年間の経済波及効果を試算したところ、福島県を除く東北5県で計約7400億円にのぼると報告された。そのうち秋田県への効果は約5200億円に達する。

 常磐道の終点である宮城県の亘理ICは仙台東部道路と直結している。仙台東部道路は仙台市の仙台港北ICで終点を迎え、仙台港北ICは三陸自動車道(三陸道)と直接接続している。三陸道は三陸縦貫自動車道・三陸北縦自動車道・八戸久慈自動車道の総称で、三陸沿岸道路と呼ばれる。青森県八戸市の八戸JCTがその終点だ。

 岩手県では三陸沿岸道路の開通により、年間約540億円の経済波及効果が見込まれている。三陸沿岸道路は東日本大震災後の復興道路として建設され、主に三陸地域の復興に必要な資材や物流の促進を目的としている。

 秋田県や岩手県の例から、高速道路の開通が地域発展に一定の成果をもたらしていると評価できる。ただし、これらの数字はあくまで経済波及効果という不確定要素が大きい試算であることを忘れてはならない。現実的な成果に結びつけるための取り組みが今後重要になるだろう。

全てのコメントを見る