車検が通らない可能性も…片手操作の快感「ハンドルスピンナー」が消えゆく根本理由

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片手操作を助ける「ハンドルスピンナー」が再注目されている。市場価格は1000~3000円台と手頃だが、誤使用時のリスクは看過できない。EPS市場は2033年に380億ドル規模へと拡大が見込まれるなか、健常者による使用の合理性は薄れつつある。安全性と本来の役割を問う。

役割と現状

ハンドルスピンナー(画像:写真AC)
ハンドルスピンナー(画像:写真AC)

 自動車を運転するうえで操作性は重要な要素のひとつだ。NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションが2024年に実施した「自動車の所有と利用に関する調査」では、約8割の人が「運転しやすいクルマがよい」と回答している。操作性のよさが、車選びにおいて重視されている実態が浮き彫りになった。

 こうしたニーズを背景に、近年の自動車市場では運転の快適性や安全性を高める補助パーツが多数登場している。その中でも一定の支持を得ているのが「ハンドルスピンナー」だ。

 ハンドルスピンナーは、ステアリングホイールに取り付けて片手でのハンドル操作を補助する器具である。回転ノブとも呼ばれ、グリップ部分に内蔵されたボールベアリングが360度自在に回転する構造を持つ。

 もともとは、身体的な理由で両手操作が難しいドライバー向けに開発された福祉用具である。しかし近年では、デザイン性や運転が楽になるという印象から、健常者による一般車両への取り付けも目立ってきている。

 現在、ハンドルスピンナーはカー用品店やネット通販で幅広く流通している。価格は1000円台から3000円台が中心。普通車から大型車、軽自動車、トラックまで対応する製品が揃い、ハンドル径に合わせてクランプで固定するタイプが主流となっている。

 一見すると便利なアイテムに映るが、実は

・取り付け位置
・使用方法

を誤ると、事故やケガのリスクをともなうという指摘もある。本稿では、ハンドルスピンナーが持つリスクと、その背景にある構造的な問題、そして今後の市場動向について、実際のデータを交えて検証していく。

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