ビッグモーター事件が暴いた“業界の闇” なぜ自動車保険は「不透明」なのか? 損保会社「過去最高益」のカラクリとは
自動車ユーザーの約8割が任意保険に加入する一方、修理業者と保険代理店が一体化した構造が悪用され、不正請求や過剰整備が横行。2024年度の大手損保3社の純利益は過去最高を更新し、利用者負担は増大する一方だ。金融庁と国土交通省の規制強化策の行方に業界の行く末がかかる。
業界の闇が出たビッグモーター事件

自動車ユーザーのおよそ8割が任意の自動車保険に加入している。これは、自動車損害賠償保障法により、すべての車の所有者に加入が義務付けられている自賠責保険に加えて、さらに多くの人が任意保険にも入っているということだ。つまり、ほとんどのユーザーが保険料を二重に負担している構図になる。
この保険制度への信頼を揺るがす事件が、近年起きた。中古車販売大手の株式会社ビッグモーター(以下、ビッグモーター)において、修理車両に意図的な損傷を加え、修理範囲を広げる。あるいは、不要な板金や部品交換を行う。こうした不適切な手法で、保険金を水増し請求していた事実が明るみに出た。
この事件を機に、長年業界内で公然の秘密とされてきた不正が次々と噴き出した。まるでパンドラの箱が開いたかのようだった。