車検が通らない可能性も…片手操作の快感「ハンドルスピンナー」が消えゆく根本理由

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片手操作を助ける「ハンドルスピンナー」が再注目されている。市場価格は1000~3000円台と手頃だが、誤使用時のリスクは看過できない。EPS市場は2033年に380億ドル規模へと拡大が見込まれるなか、健常者による使用の合理性は薄れつつある。安全性と本来の役割を問う。

危険視される理由

 ハンドルスピンナーが危険とされる最大の理由は、急なハンドル操作時に操作ミスや過度な操舵を招きやすい点にある。通常、ハンドルは両手で力を分散させながら回す。しかしスピンナーを使うと、片手で瞬時に大きく切れるぶん、カーブの終わりや障害物回避の場面で戻し操作が遅れたり、必要以上に切ってしまうリスクが高まる。

 また、スピンナーはハンドルに固定された突起物でもある。衝突事故時には、乗員の胸部や腹部に強く当たり、傷害が悪化する可能性がある。特にエアバッグ作動時には、スピンナーが障害となって展開を妨げるリスクも指摘されている。

 エアバッグの作動を阻害する位置に取り付けた場合、道路運送車両の保安基準に適合しないと判断されることがある。この場合、車検に通らない可能性がある。さらに、特殊な形状のスピンナーも基準に抵触する可能性があり、カー用品店やECサイトでは「車検対応」と明記された製品も多く見られる。

 このように、ハンドルスピンナーは便利な一方で、取り付けや使用を誤ると重大なリスクをともなう。導入にあたっては、製品の選定や設置位置に十分な注意が求められる。

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