車検が通らない可能性も…片手操作の快感「ハンドルスピンナー」が消えゆく根本理由
片手操作を助ける「ハンドルスピンナー」が再注目されている。市場価格は1000~3000円台と手頃だが、誤使用時のリスクは看過できない。EPS市場は2033年に380億ドル規模へと拡大が見込まれるなか、健常者による使用の合理性は薄れつつある。安全性と本来の役割を問う。
技術進化による立ち位置
近年の新車には、パワーステアリングが標準装備されている。これにより、ハンドル操作に必要な力は大幅に軽減された。実際、2022年時点での世界の電動パワーステアリング(EPS)販売台数は6720万台に達している。
EPS市場は、2024年から2033年にかけて年平均成長率8.0%で拡大する見通しだ。2033年末には、市場規模が380億ドル(約5兆4600億円)を超えると予測されている。なお、2023年時点の市場は、すでに300億ドルに達していた(KD Market Insights)。
加えて、レーンキープアシストや自動運転支援など、ハンドル操作を補助する先進技術の普及も急速に進むとされている。こうした技術の進展により、健常者がハンドルスピンナーを取り付ける意味は、ほとんどなくなりつつある。
実際、カー用品店やネットショップでも、一般向けのスピンナーの取り扱いは減少傾向にある。一部ではトラックや特殊車両の運転者が慣習的に使っていた時期もあったが、現在ではその姿を見る機会は少なくなっている。