離島の定期航路が消える日──なぜ年間89億円の補助金は「採算度外視の命綱」を救えないのか?
国の補助が年間89億円に膨らんでも離島航路の赤字は止まらず、全国183億円規模に拡大。416の有人島にとって「命綱」である航路は今、制度疲労と採算不全の狭間で崩壊の瀬戸際に立たされている。自治体支援も限界に近づくなか、現行制度の抜本的見直しが急務だ。
利用激減で揺らぐ286航路の未来

近年、日本の離島を結ぶ定期航路は利用者の減少と経営悪化により、減便や休止が相次いでいる。現在、日本には有人島が416島存在する。そのうち、離島振興法に基づく離島振興対策地域に含まれるのは254島だ。離島と本土を結ぶ定期航路は、2022年4月時点で286航路あるとされている。
すべての航路の改廃情報を正確に把握するのは困難だ。行政資料にも全国の航路数に差異が見られる。とはいえ、後述の具体的データからも航路数が縮小傾向にあることは間違いない。2022年4月に国土交通省が公表した資料「離島の現状と取組事例について」には、離島の現状を示す数値が記されている。
まず人口動態についてだ。1955(昭和30)年から2015年の間に全国の人口は約4割増加した。一方、離島の人口は6割以上減少している。
人口増減率の差異は以下の通りだ。
・離島:▲9%
・過疎地域:▲5%
・全国:▲0.8%
一方で、多くの航路は国の補助を受けて維持されている。定期航路が消滅すれば、島の生活インフラが失われることを意味する。しかし、
・人口減少
・コスト上昇
というふたつの課題が維持を難しくしている。
今後も続く人口減少にともなう地域社会の縮小のなかで、離島航路はどのように維持されるべきか。本稿ではこの課題に焦点を当てる。