離島の定期航路が消える日──なぜ年間89億円の補助金は「採算度外視の命綱」を救えないのか?

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国の補助が年間89億円に膨らんでも離島航路の赤字は止まらず、全国183億円規模に拡大。416の有人島にとって「命綱」である航路は今、制度疲労と採算不全の狭間で崩壊の瀬戸際に立たされている。自治体支援も限界に近づくなか、現行制度の抜本的見直しが急務だ。

乗客減と燃料高騰の悪循環

離島のイメージ(画像:写真AC)
離島のイメージ(画像:写真AC)

 離島航路が抱える最大の構造的課題は、利用の薄さと維持費の重さの不均衡にある。特に、1便あたりの乗客数が採算ラインを下回る状態が常態化すれば、事業の継続性は根本から揺らぐ。

 燃料費や人件費の高騰は、航路維持にとって深刻な問題だ。例えば三重県鳥羽市の例を挙げると、2020年5月には軽油価格が1Lあたり66円だったが、2022年4月には115円にまで上昇した。これにより、一般会計からの繰り入れは従来の1億円台から2億2200万円へと大幅に増加せざるを得なくなっている。

 こうした状況下で、補助を受けている民間運営の航路でも赤字は増加傾向にある。人件費の上昇や今後の人手不足、さらには船体更新の必要性も重なり、事業はほぼ使命感だけで維持されている状態が常態化しつつある。

 離島の維持に欠かせない国の補助も、コストの上昇には追いついていない。国による補助は離島航路整備法に基づき、前年度の10月1日から当該年度の9月30日までの1年間を対象に、標準的な賃率や経費単価で算定した標準化した欠損額を補助している。この交付額は過去10年ほど年間60億円台で推移してきたが、燃料費と人件費の高騰により、2021年度には約89億5000万円まで膨らんだ。

 一方で、全国の国庫補助対象航路の赤字は燃料費高騰とは無関係に拡大し続けている。2008(平成20)年度の約106億9000万円から2019年度には約127億1000万円に増加。2021年度には183億2000万円にまで膨張した。

 補助しているのにコスト増が埋まらない背景には、制度の仕組みがある。補助額は毎年度、標準化方式によって算定されている。これは、対象航路が効率的に運営した場合の標準的な収支を基に、標準的な赤字(標準欠損額)を算出し、その一定割合を補助する方法だ。しかし、この制度には以下の課題が内包されている。

・燃料価格が急騰しても、標準的な燃料単価はすぐに見直されない
・修繕費や人件費が地域ごとに実態として高くても、補助額は全国一律の標準値が適用される

この結果、補助を受けても経営改善が進まず、離島航路の危機が深刻化している。

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