離島の定期航路が消える日──なぜ年間89億円の補助金は「採算度外視の命綱」を救えないのか?

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国の補助が年間89億円に膨らんでも離島航路の赤字は止まらず、全国183億円規模に拡大。416の有人島にとって「命綱」である航路は今、制度疲労と採算不全の狭間で崩壊の瀬戸際に立たされている。自治体支援も限界に近づくなか、現行制度の抜本的見直しが急務だ。

住民の命綱としての離島航路

離島のイメージ(画像:写真AC)
離島のイメージ(画像:写真AC)

 離島航路は単なる交通インフラにとどまらず、住民の命綱としての役割を果たしている。特に、医療機関や高等学校、行政窓口が島内に存在しない地域では、航路が唯一のアクセス手段だ。日常生活を維持する上で不可欠である。

 例えば、長崎市の茂木港と天草下島の苓北町にある富岡港を結ぶ航路は、2011(平成23)年10月にフェリー運航会社の安田産業汽船が撤退した。しかし、長崎大学病院への通院者に欠かせない航路だったため、地元出資によって苓北観光汽船が新たに設立され、高速船での運航が続けられている。

 このように、多くの離島航路は採算性を超えた社会的使命に基づき維持されている。現行の補助制度は標準化方式を採用し、個別事情や社会的使命の重要性を十分に考慮できていない。むしろ、

「赤字でも社会的責務として運航を続けよ」

という暗黙の期待が制度設計の前提になっているとすらいえる。経済合理性と公共性の狭間で、現場の事業者に負担が集中しているのが実態だ。

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