自動車メーカー「販売台数」神話の終焉か? 鈍化する新車販売と在庫調整の嵐、なぜ「売るだけ」では生き残れないのか

キーワード :
世界の新車販売が鈍化するなか、自動車産業は「売ったら終わり」の時代からの脱却を迫られている。鍵を握るのは、1台あたりの収益をいかに長く、多層的に確保するかという視点だ。台数よりも関係性――製品の寿命全体をビジネス化する構造転換が、今まさに試されている。

保有コスト上昇の影響力

自動車(画像:Pexels)
自動車(画像:Pexels)

 これまでの販売増は、人口増加と所得上昇に支えられてきた。しかし都市部では若年世代の可処分所得(個人や世帯が手取りとして自由に使える所得)が減少傾向にあり、地方では人口そのものが減っている。加えて、多くの国で公共交通の整備が進み、クルマが移動の必要条件ではなくなった。

 また、保有コストも増加している。自動車ローン金利は上昇し、保険料は引き上げが続き、駐車場費用は都市部で高止まりしている。法規制も進み、電気自動車(EV)購入へのインセンティブは年々縮小されている。かつて購入を後押しした複数の要因が同時に反転していることが、販売台数の鈍化を説明している。

 こうした現象は日本に限らず、中国、欧州、北米といった中心市場でも観測されている。局所的な問題ではなく、グローバルな事業モデルの再設計が必要な時期に来ている。

全てのコメントを見る