激安グルメの不都合な真実! テレビ番組が垂れ流す「500円ランチ」の裏側、あなたの「お得」は誰かの犠牲である
テレビが煽る“激安グルメ”は、本当に奇跡か。500円定食や原価割れ刺身の裏で、物流、人件費、地域経済にひずみが拡大している。価格の裏に潜む“見えないコスト”を直視せずして、消費と移動、都市と地方の持続可能性は語れない。空腹感情より、構造を読み解く視点を。
コスパ礼賛が生んだ大衆食ブーム

1990年代のバブル崩壊後、日本は長期の低成長・デフレに突入した。消費者の節約志向が強まり、外食各社は客数維持のため徹底した価格競争や大規模セール、割引クーポンの多用などで対応した。
例えば、牛丼チェーンでは低価格戦略が話題となり、業界再編や新業態(安価なバイキング形式店など)の登場を促した。こうした時期は食のコストパフォーマンスが重視され、大衆食堂や低価格チェーンへの支持が高まる傾向が見られた。
2000年代以降はテレビや雑誌、SNSでも「激安グルメ」や「コスパ最強店」の特集が目立つようになり、低価格外食への注目が高まった。バラエティ番組では全国の格安食堂や限定メニューを紹介する企画が増え、観光やビジネスの新しい目当てにもなっている。
こうしたメディア露出は消費者の「安さ志向」を後押しし、外食チェーン各社も注目度を意識した価格プロモーションを展開する流れが生まれている。