京都市バス「優先運賃」のワナ! 割引が“市民”を分断? 年1.2万円vs67万人の排除、そもそも“市民”とは誰なのか
京都市が2024年に記録した3686万の訪日外国人客数は過去最多を更新したが、市営バスの混雑が深刻化し「市民優先価格」制度の導入が検討されている。しかし、住民票を持たない実質的な市民や低いマイナンバーカード普及率が運用の壁となり、経済合理性や公平性の確保に課題が山積している。
京都バス混雑の深刻化課題

2024年の訪日外国人客数(推計値)は過去最多の3686万9900人を記録したが、観光地として世界的に知られる京都市は、深刻なオーバーツーリズム(観光公害)に直面している。特に市営バスの混雑が大きな問題となっている。
こうした状況を受けて、京都市は「市民優先価格」制度の導入を検討している。この制度は市営バスなどで、市民よりも観光客の運賃を高く設定するものだ。松井孝治市長は2024年2月の市会で、
「実現への課題の解決に向けて、着実に進んでいる手応えを感じている」
と述べた。2027年度中の実現を目指しているという。一見すると、市民に利益をもたらす構想に見える。しかし、導入のハードルは高い。