京都市バス「優先運賃」のワナ! 割引が“市民”を分断? 年1.2万円vs67万人の排除、そもそも“市民”とは誰なのか
「市民」の定義が呼ぶ混乱

これまでの報道によると、マイナンバーカードと連携した交通系ICカードを使う利用者に、適用する方法が検討されているという。だが、単にマイナンバーカードで京都市内に住民票がある人だけを「市民優先価格」とするなら、不公平感を招く恐れがある。
京都市が毎月公表している「推計人口」によれば、2025年5月現在の人口は143万4956人である。一方、2020年の国勢調査では、人口は146万3723人だった。この約2万9000人の差は、「住民票を置いていないが実際に市内で暮らす人」を示している。代表的な例は、
・他府県の実家に住民票を残したまま京都で下宿する大学生
・市外に本籍を置きながら京都市内で働く単身赴任者
などだ。
彼らは日常的に京都市のインフラや公共交通を利用し、地域社会の一員として生活しているにもかかわらず、住民基本台帳には載っていない。つまり、今回検討されている「市民優先価格」制度の対象外になると考えられる。
では、制度上の非京都市民は、どれほど存在しているのか。京都府の統計書によると、2020年時点で京都市への流入人口は64万1789人だった。内訳は、通勤者が53万7049人、通学者が10万4740人。これにより、昼間人口は262万2355人に達している(京都府統計書2023年版)。
つまり、約67万人(前述の約2万9000人含む)が市内に通い、市営バスや地下鉄を日常的に利用している。それでも、「市民優先価格」の制度では対象外となる可能性が高い。
京都市は学生の街だ。また、家賃の高騰を理由に市外へ住居を移す「実質的な京都市民」も多い。住民票の有無で一律に切り分ける方法はシンプルだが、制度上の市民だけを優遇すれば、現実に都市を支える人々を排除することになる。不公平感が広がり、制度への反発を生むおそれがある。