京都市バス「優先運賃」のワナ! 割引が“市民”を分断? 年1.2万円vs67万人の排除、そもそも“市民”とは誰なのか
京都市が2024年に記録した3686万の訪日外国人客数は過去最多を更新したが、市営バスの混雑が深刻化し「市民優先価格」制度の導入が検討されている。しかし、住民票を持たない実質的な市民や低いマイナンバーカード普及率が運用の壁となり、経済合理性や公平性の確保に課題が山積している。
約44万人が除外される制度設計

さらに懸念されるのが、マイナンバーカードと交通系ICカードを連携させて判別しようとする点だ。
京都市ではマイナンバーカードの普及率が著しく低い。総務省が公表した2024年3月時点のデータによると、保有率は69.3%。政令指定都市のなかで最下位だった。市民の約3割、人数にしておよそ44万人がカードを保有していないことになる。つまり、
「制度のスタート地点にすら立てない人」
が数十万人単位で存在する。カードを持たない理由もさまざまだ。必要性を感じない人や取得方法がわからない人に加えて、政治的な立場から取得を拒む人も少なくない。こうした状況で、義務ではないマイナンバーカードを利便性の代償として求めれば、社会的な反発や「炎上」を招く可能性がある。
東京都の「シルバーパス」のような制度を導入する案もあるが、これは現実的ではない。申請から発行までに膨大な手間とコストがかかるからだ。実際、東京都では、シルバーパスにかかる税金と利用者負担の合計が年間約251億円に上る(東京都福祉局報告書)。新たなパスを発行して「市民優先価格」を実現するのは、財政面から見ても困難だ。