船橋が「住み続けたい街」になれない根本理由! 混雑率148%、医師は全国平均の6割 再開発の陰で進む“生活インフラ空洞化”の実相とは
住みたい街ランク上昇も「隠れた弱点」とは、慢性的な交通渋滞、都心通勤ラッシュ、医師不足…人口増に都市機能最適化が追いつかず、持続可能な成長への構造的課題が浮き彫りに。住宅価格の割安感だけでは限界か。
計画遅延で迫る医療危機

また、船橋市は生活利便性や交通アクセス、商業施設が充実している一方で、医療インフラの不足が課題となっている。人口10万人あたりの医師数は全国平均の
「約6割」
にとどまり、155.9人に過ぎない(千葉県213.2人、全国269.2人、中核市平均315.4人)。救急時には、市内に受け入れ先がないため、神奈川県鎌倉市まで運ばれた例もあるという。
船橋市の課題に対応するため、中心的な施策として期待されていたのが、市立医療センターの移転新築計画だ。この計画は、「ふなばしメディカルタウン構想」の核心を成し、土地区画整理や東葉高速鉄道の新駅設置と合わせて、インフラ整備の柱となるはずだった。
しかし、2023年度に発表された工事入札は不調に終わり、開院予定の2027年度は少なくとも1年以上遅れることになった。理由は、市が提示した578億円の入札予定価格と、建設業者が提示した積算額が25%も高かったことに加え、労働力不足や資材費の高騰による履行困難があったためだ。再入札後、総額は1000億円を超える見込みであり、計画の見直しを求める声も上がっている。
この問題は、人口増と都市化が進んでいるにもかかわらず、医療インフラがそれに追いついていないことを示しており、今後の都市運営におけるリスク要因となりうる。