船橋が「住み続けたい街」になれない根本理由! 混雑率148%、医師は全国平均の6割 再開発の陰で進む“生活インフラ空洞化”の実相とは

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住みたい街ランク上昇も「隠れた弱点」とは、慢性的な交通渋滞、都心通勤ラッシュ、医師不足…人口増に都市機能最適化が追いつかず、持続可能な成長への構造的課題が浮き彫りに。住宅価格の割安感だけでは限界か。

公共交通議論の停滞

船橋(画像:写真AC)
船橋(画像:写真AC)

 だが、そんな船橋市にも明確な弱点がある。それが道路渋滞だ。鉄道網こそ9路線35駅と圧倒的だが、道路インフラの脆弱さは市民の間でもしばしば話題になる。休日のアンデルセン公園は帰り道の渋滞が深刻なことでも知られている。

 市が公開している「交通ビッグデータ見える化協議会」の資料(2025年2月)によれば、 渋滞箇所では交差点改良や都市計画道路整備などが進められていることがわかる。しかし、多くの箇所は

・効果検証中
・引き続き検討中

と記載されており、渋滞緩和はまだまだ解消されそうもない。

 交通渋滞を減らす施策としては、まずバス等の公共交通の利用促進が考えられる。しかし、船橋市では現時点で、そうした方向性に対する本格的な議論はほとんど行われていない。

 市が設置している「地域公共交通活性化協議会」においても、2025年2月に開催された最新の第66回会議で 主に議論の対象となったのは

・公共交通不便地域における小型バス運行の継続
・公共交通マップの更新
・運行経費に対する補助制度の見直し

といった、地域限定・限定的な対応のみである。実際、この協議会では、市全体の交通負荷を緩和するような施策、例えば

・パークアンドライドの導入
・主要バス路線の再編強化
・鉄道駅との接続利便性の向上

といった対策は、現時点では議題にすら上がっていない。さらに、市内の幹線道路で渋滞が常態化しているにもかかわらず、渋滞解消に向けた自家用車と公共交通の適切な役割分担についても、明確な方向性が示されていないのが実情である。

 船橋市の交通問題は道路渋滞だけではない。通勤ラッシュもコロナ後も依然厳しい状況が続いている。国土交通省「東京圏における主要区間の混雑率」(2023年度版)によれば、船橋市からの通勤・通学者が利用する路線での混雑率は以下の通りだ。

・総武線(快速)新小岩~錦糸町(7時35~8時35分):148%
・総武線(緩行)錦糸町~両国(7時34~8時34分):141%
・東西線木場~門前仲町(7時50~8時50分):148%

 船橋市に住む人々は比較的手頃な価格で快適な住環境を享受できるが、都心への通勤時には混雑率140%を超える電車での移動を余儀なくされることが多い。この住環境と通勤環境のバランスは、居住選択の重要な要素となっている。

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