テスラの「充電ケーブル」大量に盗まれていた! なんと価格は1本約3万円 「都市鉱山」化するEVインフラの闇とは
充電ケーブル盗難急増

米国の電気自動車(EV)大手テスラは、EV市場の拡大にもかかわらず、地域によっては売上が半減するなど、業績が伸び悩んでいる。今後の回復には、イーロン・マスクCEOの手腕が重要なポイントとなるだろう。
また、テスラは充電ステーション事業にも取り組んでいるが、ここでも問題が発生している。充電ケーブルの盗難が世界中で増加しているのだ。なぜケーブルが盗まれるのか、その背景や防犯対策についても考察が必要だ。
テスラ充電インフラの成長と課題

テスラは、注目されるEVモデルだけでなく、クリーンエネルギー関連事業にも広く手を広げている。例えば、ソーラーパネルや電池式エネルギー貯蔵システムの提供者でもある。充電ステーションは、クリーンエネルギーをエンドユーザーに供給するための重要なインフラとなっている。
テスラのスーパーチャージャー(急速充電器)ステーションは、2012年にカリフォルニアで初めて設置され、その後米国で2500か所以上、充電ポートは約3万基を数えるまでに成長した。また、日本を含む世界約50か国で6万基以上が稼働している。15分で最大275km分の充電が可能だ。テスラは、独自に開発した充電設計を公開し、北米充電標準規格(NACS)として採用されている。
スーパーチャージャーケーブルの主要素材は銅線だ。銅は電力ケーブルに広く使われており、電気伝導性と耐久性に優れた素材として重宝されている。銅は貴金属に分類され、硬貨や調理器具、楽器など、身近な製品にも多く利用されている。
銅の取引相場はコロナ禍で急騰し、その後も高い水準が続いている。パンデミック前は1ポンド(約453g)あたり2.50ドル(約350円)程度だったが、現在では5ドル(約700円)にまで跳ね上がっている。このため、ケーブル1本の価値は
「200ドル(約2万8000円)」
に達する。銅価格の高騰にともない、スクラップ業者に売却するための盗難が増加しており、泥棒にとっては「都市鉱山」と見なされているのだ。