率直に言う P-1哨戒機は「失敗作」である――関係者も認めざるを得ない「国産化すべきではなかった」根本理由
国産哨戒機P-1は、稼働率3割台・改修費4,000億円・改修期間10年の重荷を抱え、現場では旧型P-3Cの方が重宝される逆転現象も。信頼性なき国産開発の末路と、米製P-8A導入という現実的選択肢を検証する。
改修見通しの不透明感

防衛省は、この問題を改修で乗り切ろうとしている。
これは誤った選択である。
第一に、改修が成功するかは怪しい。根幹のエンジン不良を解決できる目処はないからである。
P-1最大の失敗はエンジン選定である。実績ある海外製を選べばよいものを国産F-7エンジンの新規開発、しかもP-1との同時並行開発とした。それがコケた結果が今の体たらくである。
動機も不純であった。防衛産業の利益確保から国内開発の結論を先に決めた。それにあわせて「海外には同等品がない」となるよう仕様を逆算した形である。
技術力からすれば失敗も順当である。日本にはエンジン製造ノウハウはあるが設計ノウハウはない。遡れば実物エンジンが「なぜそのような形状なのか」「なぜその製作法を取るのか」のノウ・ホワイを持っていない。
しかも問題の洗い出しもしてない。F-7は短期間の開発であり、しかも試験運転時間も短い。
F-7は出自も素性が悪いということだ。おそらく二段底もありうる。実際に国内開発したTS-1もF-5エンジンも相当期間を経たあとで大問題が発覚した。
つまり改善の見込みは薄い。技術未熟な日本航空産業には荷が重い。しかも、設計担当者が「米国製より優れている」や「P-8Aを買わせようとする米国の圧力」と失敗を否認するようではP-1の更生は期待できない。