率直に言う P-1哨戒機は「失敗作」である――関係者も認めざるを得ない「国産化すべきではなかった」根本理由

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国産哨戒機P-1は、稼働率3割台・改修費4,000億円・改修期間10年の重荷を抱え、現場では旧型P-3Cの方が重宝される逆転現象も。信頼性なき国産開発の末路と、米製P-8A導入という現実的選択肢を検証する。

金銭と時間と人員

P-1(画像:写真AC)
P-1(画像:写真AC)

 第二に、コスト面でも改修は不適当である。P-1の改修には相当の金額や時間、人的資源が必要となる。

 エンジン改修にはざっと2000億円、10年、飛行隊ひとつが必要となるだろう。金額については1機あたりでざっと40億円、それを50機分である。10年間は計画開始から改修開始までの期間、飛行隊は海自51空がつききりになる分だ。

 おそらく新型エンジンへの換装でも大差はない。別エンジンに置き換えれば問題解決は間違いはない。ただ、コスト事情はかわらない。エンジン代、取付部の再製作、飛行試験の負担は免れない。

 加えて、機材の改修にも2000億円は見る必要がある。P-1は初飛行から20年近く経過した機体である。10年後のエンジン改修と同時に機材改修も実施しなければならない。技術進歩30年分とすると、ざっと1機あたり50億円だろう。

 はたして、この費用支出は妥当であるか。「問題が解決するかどうか」は不明である。そのような改修に4000億円の防衛費と10年間の時間、1ヶ飛行隊を費消する選択は正しいのか。それよりも4000億円で別機材を買った方がよい。

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