率直に言う P-1哨戒機は「失敗作」である――関係者も認めざるを得ない「国産化すべきではなかった」根本理由
国産哨戒機P-1は、稼働率3割台・改修費4,000億円・改修期間10年の重荷を抱え、現場では旧型P-3Cの方が重宝される逆転現象も。信頼性なき国産開発の末路と、米製P-8A導入という現実的選択肢を検証する。
「国産なんかしなければよかった」

P-1は成功作なのだろうか。
実務者複数の話をまとめると、欠陥機であり「失敗作」である。
何よりも信頼性がない。すぐにエンジンがハライタを起こして飛行不能になる。エンジンの平均故障間隔は計画段階の半分にも及ばない。しかも壊れるはずのない部品まで壊れる。過酷条件とは無縁な最前段のファンが飛散した話もあるという。
飛行可能な機体は半分にも満たない。P-3Cの場合は、だいたいの機体は飛行可能であった。それがP-1では半分以下、つまり半分かそれ以上が飛行不能である。
なお、防衛ジャーナリストの清谷信一さんは「3割台」としている。その数字をもって記者会見で海幕長に質問し、低稼働率を認めさせた。
機材の不調も情けない内容だという。整備関係者は
「光学センサの不具合は取付位置の失敗」
「センサ云々よりも振動を拾うから使い物にならない」
という。
専門的な話をするとデラミ検査も難しい。鳴り物入りで採用したカーボン繊維複合材は超音波検査が通用しない。筆者(文谷数重、軍事ライター)が「カーボン複合材でも超音波探傷を使うはず」と尋ねると「少なくともP-1の素材では駄目」との由だ。
「国産なんかしなければよかった」との感想もあった。「どこがしか『よかった』ところはあるでしょう」との質問への回答である。
いいところはないということだ。
ちなみに、P-1ファンによる国際競技会での優勝も無理筋である。彼らは「魚雷投下精度で海自P-1が優勝した」という。ただ、それは過剰精度で無価値であることを知らない。今の魚雷は自動追尾なので概略位置におとせばよいからだ。