維持費7億円超! 廃線寸前だった「JR肥薩線」はなぜ復活できたのか? 9割を公費負担、それでも「乗りたい」と思わせる観光戦略とは

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九州南部の豪雨災害から5年。235億円を要するJR肥薩線の復旧が正式決定した。通学路線・くま川鉄道とは異なる「観光回廊」としての再生。その経済的意味と制度設計、そして“使われる鉄道”への転換を問う。

八代~人吉間の利用者激減

SL人吉(画像:写真AC)
SL人吉(画像:写真AC)

 肥薩線の状況はどうか。2019年の八代駅~吉松駅の1日あたりの利用者は次のようになっている。

・普通:801人
・定期(通学):1025人
・定期(通勤):574人

くま川鉄道と比較すると、路線の性格が大きく異なることがわかる。

 くま川鉄道では定期利用者がほとんどを占めるのに対して、肥薩線では普通乗車が全体の3分の1以上を占めている。このことから、くま川鉄道は純然たる生活路線であったのに対し、肥薩線は観光鉄道としての性格が強かったことが見て取れる。実際、人吉の住民に話を聞くと、

「肥薩線は、そもそも乗ったことがない」

という声が多かった。結果として、肥薩線の復旧には沿線住民の関心が低く、決定までに時間がかかった面がある。

 なぜ肥薩線は生活路線としての需要が少なかったのか。八代市は工業地帯が広がり、県内産業の要衝だが、人吉の住民が訪れることは少なかった。高速道路を利用すれば、自家用車やバスで簡単に熊本市へ行けるからだ。また、新八代駅への高速バスを利用すれば、短時間で福岡市へも行ける。このため、八代~人吉間の利用者数は1987(昭和62)年には1日2171人だったが、2019年には414人(81%減)となっている。

 唯一の例外は、JR九州が2009(平成21)年から運行していた「SL人吉」だ。この観光列車は沿線観光の大きな動機となっていた。しかし、この観光列車は肥薩線被災後も運行を続けていたが、老朽化を理由に2024年3月に廃止された。現在、沿線では肥薩線復旧について

「観光客がどれほど戻るのか」
「新たな観光列車は走るのか」

が話題になっている。

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