民泊が中国人「移住の裏口」に!? 大阪で500万円で参入者急増、SNSで拡散…なぜ? 制度の緩衝地帯が生む新潮流とは

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大阪を中心に、民泊経営が移住手段として急増している。特区民泊の4割以上が中国系運営で、低コストなビザ取得手段として注目を集め、地域経済に変化をもたらしている。旅行と移住の境界が曖昧になり、都市の経済戦略に新たな課題を投げかけている。

500万円ビザが生む移住特需

民泊イメージ(画像:写真AC)
民泊イメージ(画像:写真AC)

 日本における民泊の定義は、ここ数年で静かに、しかし確実に変わりつつある。かつては旅行者向けの一時的な滞在手段だったものが、いまや「移住の入り口」として機能している。大阪を中心に、民泊経営が在留資格取得の一手段として活用される事例が増加しているのは、その最たる例だ。とりわけ、制度と都市構造の“緩衝地帯”がこうした変化を生み出している。

 読売新聞が4月18日付けで報じた「「民泊経営が移住の手段に」――。大阪で中国系民泊急増、SNSに「ビザ取得は簡単」」という記事が、ネット上で大きな反響を呼んだ。大阪市では、中国人による民泊経営が急増している。その背景には、「経営・管理ビザ」を利用した移住の流れがある。このビザは、資本金500万円と事業所を用意すれば取得できる。中国のSNSでは、

「学歴や日本語不要」
「3か月でビザが取れる」

といった投稿が拡散し、手軽さが強調されている。移住方法を指南する情報が次々とシェアされているという。

 特に国家戦略特区によって営業日数の制限がない「特区民泊」は、中国系業者の参入が顕著だ。阪南大学の調査では、大阪市内の特区民泊のうち4割超が中国人または中国系法人による運営で、その半数はコロナ禍後の2022年以降に認定を受けている。西成区では古民家を買い取り民泊に転用する例が相次ぎ、地価上昇や住民の不安も生じているという。

 記事はまた、経営・管理ビザの取得を支援する中国人行政書士や不動産業者の存在、さらには移住を後押しする中国国内の経済不安やゼロコロナ政策への不信感にも言及。中国では「潤(ルン)」と呼ばれる「国外脱出」を意味するスラングが広がっており、日本が移住先として選ばれる理由には、生活のしやすさやビザのコストの低さがあるという。

 同紙は専門家の声として、経営・管理ビザが移住の“抜け道”として利用されている可能性を指摘し、実態把握と制度の厳格な運用を求めている。

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