駅で突然、殴られる! 「ぶつかりおじさん」増殖のワケ──解決策はある? すれ違いざまの暴力を生む構造的リスクとは
都市部の駅構内で暴力事件が頻発している背景には、混雑やストレスが引き起こす社会的・空間的な脆弱性がある。日々何十万人が行き交う中、偶発的な接触が暴力へと変わる現実を前に、現実的な対策が急務となっている。駅の設計、監視体制、そして通報システムの改善が、安全な通勤環境を作る鍵となる。
駅空間に潜む構造的暴力

駅構内で、すれ違いざまに見知らぬ人から突然暴力を受ける――。そんな信じがたい体験が、都市部で繰り返し起きている。
元SKE48の山内鈴蘭が2025年4月13日、自身のSNSで暴力被害を報告した。
「品川駅で赤チェックに黒いリュック背負った黒メガネの男の人 ぶつかってきた挙句、叩いてきた お声がけ頂いた方々ありがとうございます、もう大丈夫です。一瞬の事すぎて警察にいいたかったけど、もう難しいね。怖かった、泣きそう」
この投稿は大きな注目を集めた。だが、これは彼女だけの話ではない。以前から「ぶつかりおじさん」といったような言葉がSNS上を賑わせている。
偶然の出来事が重なったわけではない。むしろ、こうした被害が頻発する背景には、都市の交通空間が抱える構造的な脆弱さがある。また、日常化したストレスが個人の暴発を引き起こしている側面もある。両者が交差することで、見過ごされがちな課題が浮かび上がる。
本稿では、なぜこうした被害が起き続けているのかを探る。その背景にある社会構造、空間設計、制度の盲点をひもときながら、現実的な対処の可能性を考えていく。