“抜け道”発覚で「物流改革」破綻!? ネットで広まる「実運送体制管理簿」回避術! 国交省のお粗末設計、多重下請構造の闇ふたたび?
今春から作成が義務化された実運送体制管理簿には、義務を回避する抜け道が存在していた。政府は本気で多重下請構造を解消するつもりがあるのか。厳しく問いたい。
改正法再改正の急務と課題

物流関係者(政府関係者も含む)のなかには、わざわざ法の抜け道を公表するなと怒る人もいるだろう。だが、臭いものには蓋をせよといった考え方は、真実が明らかになったときに不信感を招き、最終的には政府の推進する物流革新政策に障害を生む。
筆者の肌感覚では、政府が多重下請構造の解消を政策として打ち出したとき、運送業界の多くは歓迎ムードだった。しかし、実際に実運送体制管理簿の作成を考え始めると、「面倒だ」と感じる運送会社、特にバックオフィス担当者が増えたのではないか。
前述したように、「だってあれ、罰則ないじゃん」といった運送会社役員も、最初は実運送体制管理簿作成に前向きだった。しかし、システム導入の見積もりを取った際、その金額に驚き、モチベーションが下がった。
この抜け道が広まれば、実運送体制管理簿作成を回避しようとする運送会社が増えるだろう。そうなれば、多重下請構造の是正という本来の目的が達成されなくなる。この状況で政府がすべきことはひとつだ。早急に改正貨物自動車運送事業法を再改正し、この抜け道を潰すことだ。
なぜこの抜け道が存在するのか――その理由はわからない。しかし、筆者は法律立案時の検討不足、つまり人的ミスだと信じたい。なかには、
「実運送体制管理簿作成に反対する勢力からの圧力に負けて、政府があえて抜け道を用意していた」
と勘ぐる人もいるが、それはありえないと信じたい。物流革新のモチベーションを下げないためにも、今こそ政府は慎重かつ迅速に対応する必要がある。